犬の種類図鑑

最も高貴な犬、アフガン･ハウンド

アフガン･ハウンドの端正な顔立ち、すらりと伸びた肢体、つややかな絹糸状の美しい毛並み、凛としたまなざし、その威風堂々とした姿はだれに対しても高貴な印象を与えずにはおかない。
この高貴な犬として有名なアフガン･ハウンドは、また主人の言うことを聞かない犬としても有名だ。とはいえ言うことを聞かないのには理由があるようだ。その理由は、アフガン･ハウンドの俊足にある。馬よりも早く走るアフガン･ハウンドは、馬に乗った主人の命令が届くよりも早く自らの判断で獲物を捉えなくてはない。自分で判断して自分で行動するアフガン･ハウンド。その俊足は、自らの自立心を強くし、次第に主人の言うことを聞かない犬として印象を固めていくのであった。
なんといってもアフガン･ハウンドの歴史は古く、紀元前5000年から現在のアフガニスタンにアフガン･ハウンドの祖先犬がいたとされている。言伝えによれば、ノアの箱舟に乗ったのもアフガン･ハウンドだったと言われている。1888年、当時英国の植民地になっていたアフガニスタンから英国人のベル･ムーレイが初めて欧州に連れて帰ることに成功した。それから少し時を経、1907年にアフガン･ハウンドのブリーディングが初めて行われた。

アフガニスタンを離れたアフガン･ハウンドは、得意とする狩猟から遠のき、徐々に観賞用に改良されていき、かつて山岳地帯で見せていた獰猛性は消えていった。しかし、かなりの運動量が必要な点は今日でも変わりなく、適当な散歩だけでは到底足りない。またその美しいコートを維持するのにもかなりの時間がかかり、かなりの労力と時間を費やすくことを覚悟しなくてはならない。気品に満ちた姿ゆえ、ジャージで散歩するのもはばかられる気がする。先ほど、説明したように自立心が高いアフガン･ハウンドは、簡単にはしつけられないということも忘れてはならない。

あまり感情表現をせず、その高貴なオーラで何千年も人を引き付ける魅力はこれからも幾世紀にわたり色あせることなく続くことだろう。