PICTURE BOOK
犬の種類図鑑
ボルゾイ
History
歴史と概要
ロシアの皇帝を魅了したボルゾイ

ロシア語で「俊足」を意味するボルゾイ。1936年以前まではロシアン・ウルフハウンドと呼ばれていた。
ウルフハウンド・グループはそもそも、狼を狩るのが仕事はずである。が、実際には、ウサギやリスなどなどの小動物を狩ることが多かった。しかし、ボルゾイは違う。ボルゾイはその俊足としなやかな体格を生かして、まさに狼を狩ることをメインの仕事としていたのである。
ロシア国民ほど狩が好きな国民はいないと言われる。そのロシア国民が、1900年代に熱中していたスポーツの一つが狼狩りだった。狼を狩るのは簡単ではなく、チェスのようにかなり戦略的に行わなくてはならない。しかも、相手は狼だけにボルゾイ一頭では太刀打ちできない。そこで、3頭からなるボルゾイのチームを組み、狼を追い、包囲し、倒す。当時の貴族では3頭から10頭の規模でボルゾイが参加した。さらに、皇帝が狩りに行く時は100頭以上のボルゾイと同数のフォックス・ハウンドが動員され、多くの付き人を従え、さながら国家行事に近い形で行われた。しかし、これだけの人数と狩猟犬を従えていたら狼は一行が到着する前に逃げてしまいそうな気もするが・・・ちなみに捕えられたオオカミはその場で殺される場合もあるが、キャッチアンドリリースで再び放し、さらに敏感になった狼を再び追うというほどの熱中ぶりである。
狼狩りで重宝されていたボルゾイも1917年のロシア革命を気にその運命は一転する。
ボルゾイは貴族の象徴でもあった。ゆえに、ロシア革命で処刑された貴族たちと一緒に虐殺されてしまったのである。一時、ロシア国内からボルゾイは完全にその姿を消した。しかし、幸いなことに革命以前に海外の王候貴族に進呈されていたボルゾイが繁殖され、なんとか絶滅の危機を免れることができたのである。
今日、狼猟につかわれることはなくなり、貴族のおもちゃでもなくなったボルゾイはもっぱら観賞犬として愛されている。狼を倒すほどの獰猛な一面は、改良が重ねられた結果、姿を消しつつある。またサイトハウンド犬の中ではもっとも人になつく犬とも言われている。決して、飼い主に媚を売るわけではなく、あくまでそっと静かに寄り添う癒し系でもある。ジギルとハイド的一面を持ち合わせているボルゾイは皇帝だけでなく、多くの人に愛される犬である。
Lifespan
寿命
11~13年
Alias
別名
ラシャ・ウルフハウンド
Size
体重・体高
体重:35~48kg
体高:69~79cm