PICTURE BOOK
犬の種類図鑑
アラスカン・マラミュート
History
歴史と概要
銅像になった犬 アラスカン・マラミュート

アラスカン・マラミュートはハスキー犬によく似ているが、全体的に丸みを帯びた容姿をしており、ハスキーよりもさらにがっしりとした骨格と筋肉を有している。耳は立ち耳で小さい。体重はオスで34キロ前後、メスは38キロ前後に成長する。
アラスカン・マラミュートの出身は、アラスカ北西部の海岸地方にあるノートン・サウンド。ノートン・サウンドは平均最低気温がマイナス30度の世界である。そこで生活していたマラミュート族に飼育されていたという文書が残っていることから、ここが起源とされている。スピッツ系ではあるが、その出生は不明である。その名前にある“マラミュート”とは“マラ”というイヌイット部族の名前から由来し、“ミュート”は「村」を意味している。イヌイット族は、アザラシやホッキョクグマなど大きな獲物を狩猟する際には猟犬として活用し、また仕留めた獲物を引っぱって帰るときになどには牽引き犬としての仕事に従事させていた。マイナス30度の世界では犬を甘やかしてはいられない。常に生と死が隣り合わせの世界である。おそらく、アラスカン・マラミュートの存在なくして、イヌイット族は生き残ることができなかっただろう。今日でも極寒地の探検や冒険にアラスカン・マラミュートは欠かせない犬種である。
アラスカン・マラミュートには、その名を世界に知らしめた功績がある。それは1925年に起こった。この年の冬、アラスカ北端のノーム市にジフテリアが発生し猛威を奮ったのである。そのため、血清をいち早くノーム市に運ばなければならなかった。しかし、マイナス40度、風速40メートルの猛吹雪が吹き荒れていたため、トラックや飛行機での運搬は不可能であった。
その極限状態で、救助隊は200頭の犬橇チームを結成し、1チーム16頭で100キロメートルずつリレーをして、1100キロを走破しようとしたのである。現代とは違い、人が着る防寒服もなければ、ホッカイロもない時代だ。ましてや、犬に服を着させるなどという発想すらない。その中を、全行程で一番の難所を極め、目的地に血清を運ぶことに成功した犬橇のリーダーがアラスカン・マラミュートのだったのである。無事に届けられた血清のおかげで多くの人の命を救うことができたのだ。そのタフなリーダーの名前は「バルトー」。その功績を称え、現在ニューヨークのセントラルパークにバルトーの銅像がある。
ちなみに、このストーリーはかなり脚色されているものの、アニメ映画化されている。タイトルは「バルト」。スティーヴン・スピルバーグ総指揮、サイモン・ウェルズ監督だ。
極寒に耐えられる分厚い被毛を有するため、暑い夏は非常に苦手である。日本で飼育する場合には、北海道や本州東部の山間部など寒冷地での飼育には適している。
私たち人間は、犬のおかけで命を救われている。救われている人間はそれに見合っただけの感謝を動物に返しているのだろうか。
Lifespan
寿命
12年
Alias
別名
Size
体重・体高
体重:39~56kg
体高:58~71cm