PICTURE BOOK
犬の種類図鑑
狆(チン)
History
歴史と概要
日本初の座敷犬 狆
狆は日本初の愛玩犬である。室内飼いを前提とした、所謂、座敷犬の誕生だ。狆の祖先犬は中国から朝鮮を経て日本に渡った、チベットの小型犬と考えられている。推測の域を出ないが、チベタン・スパニエルの系統であり、ペキニーズの血も入っていると思われる。
狆がはじめて文献の中に現れるのは奈良時代、西暦732年のこと。このとき日本の宮廷に朝鮮から犬が贈られたと記述されているのが、狆に関する最古の記録だ。
その後、日本に贈られた狆の祖先犬は、800年代に遣唐使が持ち帰った短吻犬種や、琉球経由で渡来した犬の影響を受けながら、日本固有の犬種に進化し、今日の狆に近づいた。
日本の皇族に愛され、愛玩犬として大切に飼われていたがやはり庶民には程遠い存在であった。狆は江戸時代の犬好き、5代将軍徳川綱吉の治世下(1680年 ? 1709年)では、江戸城で座敷犬として飼育された。また大奥でも愛され、諸大名の間で狆を飼うことが流行。
そして、皇族の愛犬から、大名の愛犬になり、そして商人の愛犬となりステータスシンボルにもなった。それから多くの遊女の愛犬になり、慰め役としてよく話し相手になっていたと言う。そして最後にやっと庶民の手にも届く存在になった。この狆ブームの中で、日本初の獣医が誕生した。獣医といっても、狆専門だった。また、狆泥棒も多発し、異常な加熱振りを今日に伝えている。
狆がはじめて外国に出国したのは、日本を開国に追いやったペリーが本国に持ち帰り、ヴィクトリア女王に進呈したときだ。女王はこの狆を大変気に入り、外国でもその確固たる地位を瞬く間に作り上げた。その後、貿易商人が狆の商売に乗り出し、イギリスや他の欧州諸国そしてアメリカに拡散していった。
19世紀後半、AKCが狆を「ジャパニーズ・スパニエル」として認定された。しかし、この犬種名は、スパニエル種の血統とは無縁であり、混同を避けるために「ジャパニーズ・チン」と改名されている。 第一次世界大戦後、数が減ってしまったことから、それまで順調だった狆の日本からの輸出が途絶えてしまい貴重な存在となったが、もうすでに十分な数の狆が欧米諸国に存在していたので絶滅の危機は逃れている。 今日では、一般家庭犬として、世界各国で広く飼育されている。
性質はとても友好的で、ほかのペットに対しても攻撃的になることはなく、うまく共存していけるだろう。また、とてもやんちゃで遊びが大好き。木登りできる狆もいると言われているほどだ。飼育上、特に気をつけなくてはいけないことは、温度差に強いほうではないので室内が絶対条件。また美しい被毛をキープするためには毎日のブラッシングが必要だということは言うまでもないだろう。短吻種の特徴的な疾患である呼吸困難と、耳のケアには注意する必要がある。
余談ではあるが、狆の名前の由来は「ちいさいいぬ」が「ちいさいぬ」、「ちいぬ」と段々とつまって「ちん」となったと云われている。
Lifespan
寿命
12~13年
Alias
別名
日本スパニエル
Size
体重・体高
体重:2~5kg
体高:23~25cm