PICTURE BOOK
犬の種類図鑑
秋田犬
History
歴史と概要
「忠犬」 秋田犬

秋田犬の歴史は意外と浅く、100年ほどしかない。日本で国の天然記念物に指定されている6つの犬種のうち、秋田犬はもっとも知名度があり、唯一の大型犬だ。どっしりとした骨格が力強い印象を与え、雪が降り凍てつく厳しい地域で猟犬として活躍していただろうことは容易に想像ができる。
秋田犬の祖先犬は、「マタギ犬」と呼ばれる猟犬でクマやシカ、イノシシといった獲物を独特の唸り声で脅し、身動きできないようにするのを得意としていた。この「マタギ犬」を改良して闘犬にしようと試みたのが大名の佐竹氏だった。当時、闘犬は藩士の闘志を養うため積極的に行われていた。佐竹氏は「マタギ犬」と土着犬を交配させて体格を大きくし、秋田犬の基礎を築いた。しかし、加熱した闘犬も1916年に禁止され、追い討ちをかけるように第二次世界大戦へと突入し、大型犬を飼っているなどという余裕がなくなり秋田犬は存亡の危機に立たされる。
1945年(昭和20年)の終戦の時点では、戦火を免れた秋田犬は十数頭しか存在しなかった。そこで、秋田犬を愛する愛犬家たちの努力により、これらの犬を土台として戦後再び純血種としての繁殖固定が行われ、危機を脱した。
ちなみに、アメリカに渡ったのは1937年。教育家・社会福祉事業家であるヘレン・ケラーが秋田を訪れたときに惚れ込み、彼女にプレゼントされた。この秋田犬が始めてアメリカの地を踏むことになった。余談ではあるが、彼女にプレゼントされた秋田犬の名前は神風号だった。なんとも懲りない軍国主義の冗談としか思えない。
その後、多数の占領軍兵士の帰国とともにアメリカに渡った「秋田犬」の子孫が、現在「アメリカン・アキタ・ドッグ」と呼ばれ、アメリカをはじめ世界各地に広がった。
秋田犬と言えば、忠犬ハチ公ほど有名な話も無いだろう。1924年に現東京大学の教授、上野英三郎がハチ公を飼い始め、毎日渋谷駅まで送り迎えに同行。しかし、1925年に突如上野氏が他界。飼い主の死後も毎日渋谷駅まで迎えに行き、待ち続けたと言う。
ハチ公は1935年3月にフィラリアが悪化し、稲荷橋付近の路地で死去した。ハチ公の主人を思う一途な姿が人に感銘を与え、忠犬とよばれ銅像が立てられた。現在、ハチ公の剥製が国立科学博物館に保存されている。
このように、秋田犬は主人に忠実な犬種である。逆に、知らない犬や人には打ち解けず、攻撃的になったりもする。そこがまた、秋田犬の良さでもあるのだが。
しかし、どんなに忠実でもしっかり運動をさせないと無駄吠えが激しく、ストレスがたまってしまう。ヘレン・ケラーを魅了し、そして多くの日本国民に忠実であることの美しさを教えてくれた秋田犬。いまでも、そしてこれからも、そのひたむきな姿は色あせることはない。
Lifespan
寿命
10~12年
Alias
別名
Size
体重・体高
体重:34~50kg
体高:60~71cm