PICTURE BOOK
犬の種類図鑑
セントバーナード
History
歴史と概要
人に尽くし、人に裏切られた セント・バーナード
セント・バーナードはスイス出身。この犬種の名を聞いたことがない人のほうが少ないかもしれない。日本では、超人気アニメ「アルプスの少女ハイジ」や「フランダースの犬」の中で重要なキャラクターとして描かれている。
セント・バーナードは、犬種中で最大級の体格で、成犬は標準で体高が65~90cm、体重は50~91kgほどにもなる。記録に残されている中で、最大のセント・バーナードは体重138キロあったという。力士なみの体格だ。
そもそもセント・バーナードの起源は、2世紀頃にローマ帝国軍の軍用犬としてアルプスに移入されたモロシア犬が祖先犬で、隔離された環境で独自の進化をしたとされている。
1660年頃から本格的に改良され始め、今日に至る。当時、セント・バーナードが飼われていた場所は、サン・ベルナール修道院。踏み車を動かしたり、荷車を引いたり、番犬として僧侶たちに重宝されていた。また、この修道院は旅人の宿泊施設にもなっていた。そして、ここを訪れ利用した人たちが、この大きな犬をセント・バーナード(サン・ベルナールの英語読み)というニックネームをつけ、これがそのまま正式な犬種名となる。
セント・バーナードが有名なのはその体格よりも、むしろその功績によるほうが大きい。
セント・バーナードはとても優れた嗅覚をもっており、雪の中で遭難した人を見つけることができた。そして、遭難した人を発見したら、体を寄り添い、手首などをなめ、首から下げているラム酒(都市伝説の疑いもある)を与え、遭難者の体を温めて、僧院に届くように大きな声で吠えるレスキューをした。今日までに少なくとも2000人以上の人命を救ってきたとされている。中でも有名なのはセント・バーナードの「バリー」。なんと「バリー」はその生涯で40人もの人命を救ってきた。しかし、1815年に「バリー」は狼に間違われ、ハンターに射殺されてしまう。どういう眼をしていれば、セント・バーナードと狼をまちがえるのだろうか。いずれにしても人助けをしてきた「バリー」は、人の手によって殺されたのである。その亡骸は剥製にされ、スイスの博物館に収められている。
性格は 温和で利口。従順ではあるがしっかりとしつけをしなければ、100キロ近い体格を持つ暴君になりかねない。寒さに強いが暑さにはめっぽう弱い。その体格を見る限り、狭い部屋で暮らせるとは誰も考えないだろうが、できれば広い静かな山岳地帯で飼育することをお勧めする。
Lifespan
寿命
9~11年
Alias
別名
アルパイン・マスティフ
Size
体重・体高
体重:50~91kg
体高:61~71cm