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プーチのドッグトレーナーが執筆する、犬と飼い主さんのためのプログ

2.なぜしつけ教室やドッグ・トレーニングが必要なのか

その二 問題点

では、なぜ人間社会の中で共生する犬に対してなんのしつけも社会化もほどこさないのでしょうか?

考えられる理由その一

犬との正しい接し方に関しての情報が少ない。これは、ブリーダーやペットショップの人の知識が乏しいため、購入時にしっかりとした説明を受けられないことに起因していると思います。

考えられる理由その二

犬の存在を軽視しているから。人の子にはお金をかけて、犬にはかけない・・・・しつけには、お金がかかる、時間もかかる、面倒が増えます。確かにそのとおりです。犬を飼うということは、お金もかかるし時間もかかるし面倒がかかるものです。逆に好き放題に甘えさせるのは非常に楽。しつけを自分でやるから大丈夫という人も多いですね。しつけを自分自身でやることは大賛成。賛成なのですが、残念ながら多くの人は出来ていない!これも冷静になって考えれば当たり前なのですが例えば、ボクシングを知らない人が、ボクシングを正しく教えられるだろうか???もちろん例外はあるでしょう。それでもそれなりの「知識」と「経験」そして理解があってはじめて「教育」「教えること」が出来るものです。愛犬のことを一番理解しているのは当然他の誰よりも飼い主であり、自己流でもきちんとできれば問題はないと思います。ただ、基礎的な知識がないと、犬の個性を破壊させる可能性もあります。愛犬の行動を理解するためには、感覚や観察も大切ですが、野生動物の行動学的な知識があると、より深い、実質的な理解ができるということを意識しましょう。

ということで、しつけとはおそらく多くの飼い主さんが思っているよりもずっと大事なものであり、しつけ教室に通うということはそれを一番効率よく行う方法です・・・ダイエットをしようとして、ダイエット本を一冊購入してやせた人はいません。体を動かして初めて、結果が出るのです。しつけ本を読んだだけでは、犬は変わりません。変わっているのであれば、こんなに犬を連れて出歩けない国になっていません。

犬はおもちゃではないのです。成長するし、個性があります。様々な経験を積み、課題をクリア―して成長することで、健全な個性を持つようになるのです。しつけやトレーニングは第三者が、冷静に犬の性格と特徴を判断できる貴重な機会でもあります。
多くの人はこの意見に賛同してくれます。しかし、実際行動する人は少ないものです。結局、犬の存在を軽視しているということですよね。やはり、日本では犬の地位はまだまだ低いということを実感する今日この頃です。

ところで、しつけの重要性をもうひとつ、訴えたい。
しつけの徹底は、日本社会で犬を取り巻く環境を改善するためにも絶対必要です。

日本で、犬と一緒に入れるレストランやカフェ、交通機関に公共施設はほとんどありません(盲導犬などは別)。ドッグカフェなどというものは日本にしか存在しない、非常に不思議な空間なのです。
ドイツでは、犬が入れないレストラン、ホテル、電車、バス、タクシー、公共施設などはありません(一部の高級レストラン、博物館などは除く)。仕事場にも犬を連れて行って良いところが多い。
よく、欧米諸国を訪れた人々は犬を連れてどこへでもいける環境を羨ましがります。

なぜ、ドイツで可能なことが日本では不可能なことになっているのでしょうか?

ドイツの犬は、飼い主の側で落ち着いて待っていられるからレストランなどに入ることができるのです。他のお客様に迷惑がかかっていては当然、追い出されます。

ではなぜ、犬はおとなしく待っていられるのだろうか?

答えは簡単です。

しつけが徹底しており、犬の精神バランスがとれて落ち着いているからです。

しつけ

行儀のよい犬

迷惑がかからないため行動範囲が広がる。

この流れが理解できなければ、限られたドッグカフェで吠えまくる犬と、興奮して暴れる犬の間で急いでコーヒーを飲んでそそくさと店を出なければならない現在の日本の環境は未来永劫変わらないでしょう。しつけができていない犬が多い結果、愛犬を連れていける場所は非常に限られ、飼い主と一緒に過ごす時間は短く、一日中留守番をさせられ退屈し、そして、狭い行動範囲の中で、犬はその人生を終える・・・・・それが犬にとって幸せかどうか?
あなた自身が犬だったらそんな世界に住みたいと思いますか?


つづく・・・・

掲載日:2009.04.05
情報更新日:2009.04.05