犬の種類図鑑

水陸両用、アイリッシュ・ウォーター・スパニエル

アイリッシュ・ウォーター・スパニエルはスパニエル種の中で、もっとも古く大型で、唯一ラット・テールと呼ばれる尻尾を持っている。付け根は太く、根元は巻き毛が密集しているが、直線状に伸びている先端にいけばいくほど、毛が全くない無毛の状態になっている。ラット・テールの名の通り、まさにネズミの尻尾に似ている。その特徴的な尻尾のおかげか、アイリッシュ・ウォーター・スパニエルの尻尾は、スパニエルの中で唯一断尾されない稀な犬種である。

アイリッシュ・ウォーター・スパニエルのルーツは正確にはわかっていないが、アイルランドには過去に３種類のウォーター・スパニエル（ノーザン・アイリッシュ・スパニエル、サザン・アイリッシュ・スパニエル、そしてツィード・スパニエル）がいたと記録されている。アイリッシュ・ウォーター・スパニエルは、その中で唯一今日まで生き残った犬種である。

ウォーターの名が示すように、水中での作業を得意とする犬種。ローマ時代の遺跡からはアイリッシュ・ウォーター・スパニエルと思われる彫像が出土している。さらに近年、アイルランドの湖の底を発掘した際に、この犬種の頭蓋骨と思われる骨が発見されている。
少なくとも、7世紀から8世紀の間にはすでにアイリッシュ・ウォーター・スパニエル
が、存在していたことになる。ローマ時代の昔、ローマ兵が放った弓矢や鳥を湖から引きあげていたと考えられている。細かくカールした巻き毛の被毛は上毛と下毛の二層構造になっており、たっぷりと油脂分を含んでいて、耐水性は非常に高く、冷たい水にもどんどん入っていける。ただし、この巻き毛は万能ではなく、草野や茨が生い茂る場所では種などが絡みやすく面倒になることもある。また、もつれやすく固い被毛を維持するためには一週間に2回～3回はブラッシング、コーミング、最低でも2カ月に一度のトリミングはマスト。

猟犬だけあって運動能力が非常に高く、トレーニングが大好きなアイリッシュ・ウォーター・スパニエル。退屈させてストレスがたまらないように他の犬と遊ばせたり、ボール拾いをさせたり、自由に走らせたり、肉体的にも精神的にも刺激 になるような運動をさせる必要がある。散歩は最低でも、毎日1時間以上。服従させるようなトレーニングをすると、喜んでチャレンジしてくれるでしょう。