PICTURE BOOK
犬の種類図鑑
ポメラニアン
History
歴史と概要
女王をも魅了した永遠の玩具犬ポメラニアン
ポメラニアンとはドイツ語のポンメル地方を英語読みしたポメラニアン地方の名称。ポメラニアンはドイツ出身である。その小柄なサイズとかわいらしさから体重13キロあり、氷原で犬橇を引っ張っていたスピッツサモエド族が祖先とは一見しただけではわからない。ちなみにドイツでは小型スピッツとも呼ばれている。
ポメラニアンが現代で言うセレブ犬としてデビューを飾ったのは1880年代。イタリアを旅行していたビクトリア女王が、旅の記念として「マルコ」というポメラニアンをもらったことに始まる。当時、女王はすべての流行の発信者であった。そのブームメーカーの女王が惚れ込み、イギリスにつれて帰ってきた犬となれば話題になることは間違いなしの状態。イギリスにポメラニアンを持ち込んだのはビクトリア女王が初めてではなく、1800年代から存在していたらしい。ただ、テレビもラジオもない時代にそのかわいらしい存在にビクトリア女王の宮殿に入るまで脚光を浴びることは無かった。
ビクトリア女王はただポメラニアンをかわいがっただけではない。ブリーディングまでして、1891年にロンドンで開催されたドッグショーに出陳。クラス一位を獲得した。イタリアから一緒に渡英した「マルコ」はショーで賞を獲得しただけでなく、英国の貴婦人のハートもしっかり獲得しさらに世界中にその名を知らしめてしまった。ビクトリア女王が息を引き取るとき、その寝室に入室をゆるされたのもポメラニアンの「トーリ」だったというストーリが残されている。
ただ、ポメラニアンにとって名声を得たことは、うれしいことばかりでなかったようだ。
人気者になるということは同時に、「売れる」ということにつながる。そして「売れる」ということは、人の欲を限りになく刺激し渇望へとつながる。そう、ポメラニアンは一気に大量生産の餌食なってしまうのである。遺伝子的問題や性格の問題など考慮に入れず、ひたすら狭いケージに入れ生めよ増やせと乱繁殖してしまったのである。
1950年代、欧米に遅れながらも日本に初のペットブームが到来した。当時の人気者御三家はマルチーズ、ヨークシャテリア、そしてポメラニアン。50年代といえば、まだまだ犬に対する知識は偏っており、ブリーディングに関しては素人同然の時代。そして目的は膨らむ需要に対しての利殖目的オンリー。これらの環境から生み出されたポメラニアンは異常なサイズでバランスを崩してすぐに死んでしまったり、骨格が紙のように脆いペーパーボーン症状を患っていたり、異常に神経質で好戦的なポメラニアンが出回ってしまったのである。病気持ちのポメラニアンが大量に社会に流れ出てしまったため、元来の元気で明るい性格のポメラニアンが、「神経質」「アグレッシブ」という風評が定着してしまったという暗い背景ももつ初代セレブ犬。
それも過去の話(そう願いたい)陽気で明るく、活発なポメラニアンは21世紀になった今でも、女王だけでなく、世界中の人々に笑顔を送り続けているのである。
Lifespan
寿命
15年
Alias
別名
ドワーフ・スピッツ、ルル
Size
体重・体高
体重:2~3kg
体高:22~28cm