犬のヒゲと猫のヒゲ
トリミングをしているとお客様からヒゲのカットをお願いされることが多々あります。ピンと張ったヒゲをカットするということは犬にとってどんな影響があるのでしょうか?
犬のヒゲは五感のうち、「触角」の役目を果たしています。人で言うと触って見た時に感じる感覚ですね。犬はヒゲ以外にも皮膚などの触角をもっています。猫もヒゲがありますが、猫のヒゲは犬よりも知覚器官としての役割が大きいので、ヒゲを切ってしまうと感覚が狂いまっすぐ歩けなくなる猫も出てきてしまうことがあるくらいです。
一方、犬は嗅覚や聴覚が発達し敏感になったためにヒゲの役割が衰退していきました。ですのでヒゲを切っても歩けなくなることはありません。
しかし、衰退したからと言っても本来の知覚器官としての役割が完全に消え去って、無駄な部分としてヒゲが顔から生えているわけでもありません。
ヒゲの毛根部には神経が普通の体毛よりも集中しているため、僅かにヒゲに触れただえけでも感知して、何が触れたかを認知し、行動に移ります。やはり、大切な感覚器官なのです。人に当てはめて想像してみると、耳が悪くてあまり聞こえなくなったから切り取ってしまうような感じなのでしょうか?「もとからあまり聞こえない耳なのだからなくてもよいだろう。」でも、ほんの僅かでも聞こえる耳があるというのはどれほどありがたいことでしょう。自分の耳を手でふさいでみればすぐにありがたみがわかります。
犬のヒゲの特性として、犬の体調とヒゲの張り?が連結している点。つまり、調子が良い時はヒゲがピンっと張っていて、悪い時はヒゲが下に垂れさがって寝ている状態になります。ヒゲの状態はかなり正確にそして信頼できるワンちゃんの健康状態のバロメーターになります。
以上の観点から考えますと、ヒゲを切るのは生体生理学的にみるとやめた方がよいでしょう。先ほどの人の耳の例のようにたとえ、微量の感覚しか残っていないとしても、知覚器官の一つを完全に失うダメージは大きいのは間違いないのですから。
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